2017年11月25日土曜日

動的平衡  生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか  福岡伸一 木楽舎

最近は西田幾多郎についての著作もある著者。生物を部品の寄せ集めによるシステムとみるのではなく、川の流れのように要素がいれかわりつつ全体的バランスを維持する、動的平衡として考えている。方丈記・鴨長明を思い出す。分子生物学の主流となっているシステム論の考え方には真っ向から反対。
NHKの「人体」を見たが、あらゆる臓器はシグナルを出して会話しているということを言っていた。
すべては全体につながるという世界観は量子力学とも通じる。
AIや抗老化研究については、福岡先生はどうかんがえているのだろう。
象やクジラが超低周波で話をしているというのは初耳だった。象とクジラが互いをよびあっていることもあるという。世界は歌に満ちている。「動的平衡2」も出ているから読んでみたい。
だがいまひとつ物足りない感じがするのはなぜだろう。
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2017年11月21日火曜日

方丈記私記

方丈記私記 堀田善衛 ちくま文庫

戦争中の体験を、方丈記の読書体験とともにつづった。
独特の文体でどこか語り口が方丈記に似ている。

59ぺージ 東京大空襲の焼け跡を天皇が視察するシーンは印象的。
どこからともなく人々が集まり、ぴかぴかの軍靴を履いた天皇の前に土下座して、陛下、私どもの努力が足りませんでしたのでむざむざ焼いてしまいました、申し訳ございません、と涙を流して呟いていた。
筆者は本当に驚いてしまった。

しかしここに思わず天皇が出てきたとき、とっさに何をいうだろうか。
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現代語訳 方丈記

現代語訳 方丈記  佐藤春夫  岩波現代文庫

一気に読み通してみると、前半の悲惨な災害の描写と、後半の隠遁生活のいとおしさに満ちた描写が見事なコントラストを見せている。

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2017年11月12日日曜日

終わりなき対話 Ⅱ限界と経験

終わりなき対話 Ⅱ限界と経験 モーリス・ブランショ 湯浅博雄 他訳

11 日常の言葉
p302 日常とは発見することがもっとも困難なものである。
p307 「何もおこらないこと」はいかなる水準に位置づけられるのだろうか。私にとってつねに必ず何かが起こっているというのに、誰にとって「何も起こらないのだろうか」。換言すれば、日常の「誰?」とはいかなるものだろうか。また同時にこの「なにも起こらないということ」のなかには、なぜ、本質的な何かが生じうるという主張が含まれるのだろうか。
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時間の言語学 

時間の言語学 瀬戸賢一 ちくま新書

まだ娘が幼いとき、「2時間前」という言葉を何気なく使ったとき、「どうして過去のことなのに前なの?」と聞かれた。
そうだ。私たちは、未来に顔を向けている、というメタファーをつかっているので、過去のことは「後」というのが正しいはずだ。
これは、そんな話。
各章のページにマグリッドの絵が使われているのが印象的。
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2017年11月8日水曜日

超口語訳 方丈記

超口語訳 方丈記 鴨長明 濱田浩一郎

見栄をはらずに超口語訳で読んだ、方丈記。 鴨長明という人は、孤独な人だ。
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インターネットの次に来るもの

インターネットの次に来るもの  ケヴィン・ケリー 服部桂訳 NHK出版

2016年(昨年)邦訳されたベストセラーだが、この本に書いてあることはすでにどこかで聞いたことがある内容で、目新しくもない。
本書でいうウェアラブルやIoTはすでに実現しつつある。
驚くほどの現実の速さ。変化はこれからどんどん加速していくだろう。
しかし、相変わらず私は、自分の肉体は電車に揺られてながら、本というアナログな形式でこの内容を読んでいる。
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2017年11月4日土曜日

セザンヌは何を描いたか

セザンヌは何を描いたか  吉田秀和 白水社

気持ちはわかるが、セザンヌが好きという思いが走りすぎている感じがする。
私はセザンヌは心の働きのありのままを描こうとした人だと思っている。
この著者のいうように現実を離れて画面の上での構成、すなわち絵そのもの描こうとしているということもあるのだろうが。
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我々はどのような生き物なのか ソフィア・レクチャーズ

我々はどのような生き物なのか ソフィア・レクチャーズ 
ノーム・チョムスキー   福井直樹・辻子美保子 訳   岩波書店

2014年に上智大学で行われたチョムスキーの2つの講演記録とインタビュー
言語学者と政治思想家という二人のチョムスキーを結びつける

引用
言語機能は人間が自由に思考し、自由に表現することを可能にします。人類が持つこの認知的生き物としての本質に基づいて、私たちは社会的生き物としても自由で創造的でかつ協同的な生き物であってしかるべきなのです。これがチョムスキー教授が持つ(広い意味での)「哲学」なのです。(福井直樹) p116

興味深いことは、チョムスキーは、言語は5-10万年前のある非常に短い時間の間に創発した、と考えている。進化上ではとても短い時間の間であり、それが事のすべてである。 p129

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